【⒊ 次期総合計画に向けての追加テーマ】
地球温暖化がもたらす気候変動は、世界各地の気象状況を大きく変えつつある。森林減少・砂漠化・氷河・凍土氷解・海面上昇などが、食料生産や経済活動に大きな打撃を与えるとともに、気象災害の大規模化・頻発化により人々の生命を脅かすなど、人類の存続に極めて重大な影響を及ぼすものとなっている。私たちの身近なところでも、令和元年10月の台風19号のような、かつて経験したことのない気象災害が今後頻発する可能性があり、箱根が深いダメージを負ったように、気候変動は身近な地域の暮らしや経済にも深刻な被害をもたらし、その影響も長期化する。
防災対策や復旧対策は当然のこととして、気候変動そのものを鎮静化させる取り組みが人類にとって最重要課題となっており、地域における様々な取り組みの中でも、地球温暖化抑制に資する政策判断や脱炭素型地域づくりが、様々な政策課題に優先して取り組まれるべきである。そうした観点から、脱炭素に繋がる官民の取り組みに対しては、高い優先順位を付けて実施・支援していく。
気候変動の進行は、集中豪雨や台風による風水害被害を度々引き起こしており、かねてより発生が懸念されている大地震や津波、加えて火山活動などによるものも含め、災害への対策強化が喫緊の課題である。
実際の発災時により近い想定で行う防災訓練の充実をはじめ、災害対策本部を設置する市役所本庁舎の機能整備、災害情報の伝達手法、避難住民の受け入れ体制、ボランティアや支援物資などの受援体制、災害廃棄物処理、仮設住宅供給など、近年各地で発生した大規模災害に学びつつ、災害対応力の強化充実を迅速に進める。
また、内水氾濫の原因となっている主要河川の河床上昇に対し、管理者である県が実施する浚渫や護岸補強事業と連携して対策を進めるなど、ハード面の災害対策と強靭化についても進めていく。
人口減少・少子高齢化が進み、同時に様々な社会課題が難しさを増していく時代においては、それらを解決するための「人の力」が、今以上に高まっていかなければならない。
未来を担う子どもたちに対しては、学校での教科学習だけでなく、地域の様々な人たちの力を借りながら、社会課題についての学び、職業体験、郷土愛を育む文化交流など、地域総ぐるみでの学びの場を充実させていく必要がある。
働く世代の市民に対しては、現在の仕事や家事だけでなく、自らが関心を持つテーマについていつでも学ぶことができ(リカレント教育)、それを実生活や社会において活かせるような機会を地域の中で増やしていくことが望ましい。
現役を退いたシニア世代に対しては、第2の人生を豊かで実り多いものとするための学び直しや、社会貢献にもつながる生涯現役の活躍の場が求められる。
こうした、様々なライフステージに応じた学びの場づくり、それを通じた「人の力」の涵養を、「おだわら市民学校」などを通じてより一層進めていく。
市民の健康の増進は、健やかで明るい市民生活に欠かせない要素である。また、医療費・介護費が抑制されれば、国民健康保険や介護保険、扶助費への支出が減り、さらなるサービスの拡充に用いることもできるなど、その推進は極めて重要である。
その際、ウォーキングやランニングなど既に定着しつつある手軽な運動はもとより、ラグビーW杯やオリンピック・パラリンピックを通じて機運の盛り上がったスポーツの振興を通じ、スポーツ人口を増やしていくことが望ましい。
スポーツに取り組む市民が増えることは、健康増進だけでなく、市民活力の向上、地域におけるコミュニケーションの活発化、多世代交流など様々な価値を生むものであり、これまで以上に積極的に推進していく。また、そのための場所や施設の確保についても検討を行う。
地域社会における諸課題への市としての対応要請は増えているものの、税収の伸び悩みなどにより職員の増員が難しい中、各種情報技術を取り入れて業務改善を図ることは、業務効率の向上のみならず働き方改革の視点からも、自治体経営の中でますます重要性を増している。また、国民生活や経済活動のデジタル化に伴い、市役所の各種業務や手続き等におけるデジタル化の推進も不可避である。
AI、RPA、各種デジタル技術などの導入を積極的に進める体制を整え、費用対効果が高く実施可能なものから随時導入を進めていく。