加藤けんいち

おだわらを拓く力(加藤けんいち後援会)

Ⅱ.市政運営に臨んでの基本理念とビジョン

 市長就任以来、一貫して「持続可能な地域社会の実現」を目指してきたのは、私自身の人間観・社会観・時代観、そしてそれらが重なり作られてきた大局観によるものです。

 私が生後10か月の時に父に先立たれ、女手ひとつで3人の子を育てながらも、私が中学2年の時に亡くなった母の苦労。両親のいない私たちを支えてくれた多くの人たちへの感謝。当たり前に健康であることがいかにありがたいか、身をもって教えてくれた娘と息子。自然の中で、力を出し切って生活することの愉しさを学ばせてもらった、小さな学び舎での経験。山岳部員として歩いた、日本の国土を形作っている多様で美しい山野。事業の世界のきびしさと論理を学んだコンサルタント時代。自然と共に生きる中で自ら実感した、いのちを支える水・食の尊さ。農・林・漁・ものづくりなどの現場で素晴らしい仕事をしている人々。様々な現場で人知れず地域社会を支えている数知れぬ市井の人たち・・・。

 そうしたご縁・出会い・経験から身に沁みているのは、いのちの尊さ、自然の恩恵の深さ、支えてくれる人がいることのありがたさ、生きる糧を自分の手で作り出すことの大切さ、お互いに感謝しながら生きてゆける社会の素晴らしさ・・・であります。そしてその実感は、小田原市長という大事な任を仰せつかり、私たちの社会を取り巻く諸課題に多くの人たちと共に取り組んでいく中で、揺るぎない確信へと変わり、「第3ステージの取り組み指針」において以下のように表現させて頂きました。

小田原市が目指す「持続可能な地域社会」とは:

  1. いのちを支える豊かな自然環境がある
  2. 自然と共存し人々と手を携えていく意識と力を持つ人間が育っている
  3. 基礎的な社会単位である地域コミュニティの絆がむすばれている
  4. 人が生まれ、育ち、暮らし、老いていく、その営みを、社会全体が敬意をもって支えている
  5. 喜びも苦しみも、みんなで分かち合う文化や仕組みを、社会として共有している
  6. 地域の資源を生かした、地に足の着いた経済活動が根付いている
  7. 暮らしや経済を支えるさまざまな社会資本は、計画的にメンテナンスが施され危なげない状態にある
  8. 地域の運営をつかさどる基礎自治体は、地方政府と呼べる総合力と、市民一人ひとりへの細かな配慮を併せ持っている

 それらを具体化する地域ビジョン:「いのちを守り育てる地域自給圏の創造」(いのちを支えるために必要な要素は、基本的に身近な地域で賄う。それが、もっとも安全であり安心である、という考え)

 社会を取り巻く諸情勢は目まぐるしく動きます。数年先さえ正確に見通すことが難しい時代ですが、「人間にとっての幸せ」「社会のほんとうの豊かさ」というものはさほど変わることがないと、私は考えています。幸せや豊かさを実現する具体的な表現やカタチは、人それぞれかもしれません。でも、それを貫く筋道、方向性は、以上の指針に語り尽くされているのではないでしょうか。これらを地域社会としてバランスよく育て、確かなものとし、市民の人生を全身全霊で支えていくことこそ、行政の役割であります。そして、その舵取りを大胆かつ慎重に行うのが、市長の役割だと肝に銘じています。

 市民のみなさんと様々な課題解決や地域づくりに、愚直に、誠実に取り組んできた12年間の歩みを通じて、小田原が本来宿している「徳」は、高い「市民力」・「地域力」、そして「協働」という形であらわれてきました。そして、「人の力」こそは、まったく信じるに足るものであると、私は深く実感しています。時代や社会が移り変わろうとも、各種技術がどのように発展していこうとも、この原点にしっかりと立ち、市政の更なる充実を進めてまいります。