幼児から、学校教育、そして生涯学習まで、恵まれた環境を十分に活かし、小田原ならではの質の高い教育風土を育てます。
【基本方針】
少子化社会の進行で若者世代が減少してゆく中、小田原で生まれ育つ子どもたちの存在は、まさに小田原の未来そのものです。これまで、小田原市の人口当たり教育費は同規模の自治体と比べ低くなっています。厳しい時代だからこそ、未来を担う人材の育成には、しっかりと投資を行うべきです。将来の小田原を担うべき人材として、小田原に対する愛郷心を育て、市民が主体の小田原を担う社会規範を育てるべく、しっかりとした教育の仕組みづくりが必要です。家庭、学校、地域のそれぞれが果たすべき役割をしっかりと位置づけ、お互いに連携を取って、地域総ぐるみでの人づくりを進めていきます。
「子育てするなら、小田原だよね!」と言われるような、教育立市を目指します。
【核となる取り組み】
学校には学校にしかできないこと、家庭がしなければいけないこと、それぞれがあります。でも、地域社会全体で、子どもたちを見守り、未来を担う人材として、愛し育ててゆく器作りが必要です。
小学校区を基本単位にし、学校を核として、学区内の様々な団体や活動(※)を、「子どもの健全育成」という重要テーマに基づいてネットワーク化します。情報を共有するとともに、様々な活動をお互いに開きあいながら、子どもたちや、その親の世代も含んだ協働を展開します。核家族の中で不足しがちな他世代との交流や、地域社会の現場を介した総合的学習や体験などを子どもたちに提供し、社会的な力を育てます。その中で、地域全体が自分を見守ってくれているという、故郷への愛着を育ててゆきます。
そのような、子どもの学びと育ちを核にした地域コミュニティの姿を、「スクールコミュニティ」として位置づけ、その形成や活動の充実に行政としても人的・財政的に支援を行ってゆきます。
※
自治会、老人会、商店会、子ども会、育成会、消防団、公民館、各種サークル、PTAなどが、地域横断的に連携を図ります。取りまとめを行う事務局の人材を育てますが、当面は市職員がその立ち上げに関わります。
【重点政策】
小田原独自の学習プログラムづくり
小田原には、自然環境や歴史文化など素晴らしい教育環境と、二宮尊徳や北原白秋など学ぶべき多くの先達に恵まれています。それを活かした、小田原ならではの教育体系を構築していきます。郷土を知り、いのちの大切さや社会規範をしっかりと伝えて、日本の未来を支える人材の育成を目指します。
特に、豊富な自然のフィールドを活かした環境教育の充実、多様な地場産業を活かした職業教育の展開、小田原に厚く蓄積している文化資産を活かしての文化教育などに、小田原ならではの独自性を発揮し、小田原市民であることの誇りを子どもたちに伝えます。
教育現場の裁量権尊重と、教育に専念できる環境の整備
イキイキとした教育現場を実現するために、各校独自の工夫や活動に対する裁量をできるだけ確保し、学校長以下現場の教職員の意見や提案を可能な限り反映する教育行政を展開します。これまで削減傾向にあった学校施設整備費など校長裁量になる予算枠の拡大を進めます。また、教育現場で発生する様々な問題解決の受け皿として退職教員を活用し、現場教員は教育に専念できる環境を作ります。
通学区単位での子どもの居場所づくり(児童館、小図書館 等)
地域にある公民館や空き家、空き店舗などを活用して、現在小田原にはない児童館(東京や横浜には下校後の子どもたちが地域の人たちの見守る中で自由に遊んだり学習したりできる居場所があります)を地域での開設を支援します。子どもたちの居場所をきめ細かに確保すると共に、大人と子どものふれあいの場作りを進めます。児童館の内容として、個人の蔵書などを持ち寄っての地域文庫の開設なども推奨します。
迷える若者の自立支援活動の推進と拠点作り
引きこもりやニートなどの若者が、自分を取り戻し地域の中で居場所や生き方を見つけてゆけるよう、民間教育団体や地域内事業所との連携で、自立支援や職業教育のための活動や拠点整備を支援します。
「生涯学習のメッカ」としてのまちづくり
シルバー大学をはじめとして小田原には様々な生涯学習の場が設けられています。それを更に充実させ、生涯学習のメッカとしてのまちづくりを進めます。既存大学の社会人向けエクステンションセンターなどの誘致などを視野に、首都圏からも集客できる生涯学習や生涯現役のためのソフトの編成と集積を目指します。
市民の芸術文化創造活動の活性化への支援
小田原には、音楽・舞台・美術の分野で長い活動暦を誇る、優れた芸術文化活動が多数存在しています。これは他地域にはない小田原の誇りであり資産です。その裾野を更に拡げ、担い手を育成するために、芸術文化振興に取り組む市民活動をしっかりと支援します。取り組みを本格化するために、専門能力を持つ市職員を養成、確保します。
市民による芸術文化活動の拠点として、新しい市民ホールを明確に位置づけ、全市的に芸術文化分野の育成を図ります。
史跡文化財整備の推進と、学術文化交流への支援
小田原のまちづくりの中心に存在してきた、小田原城址。その史跡文化財の整備を、引き続き進めていきます。特に、大外郭遺構の整備と保全を進め、誇れる城下町の全容を街づくりに活かしていきます。また、報徳思想をはじめ、小田原にゆかりのある哲学・文学・芸術・研究などを顕彰し、それに伴う内外との学術文化交流を積極的に支援、小田原ならではの貴重な財産とします。