講演会:あしがら平野の先人たちに学ぼう ~二宮金次郎の「志」をたずねる~
日時:7月15日(土) 場所:報徳二宮神社・報徳博物館ホール
- 【主旨】
- 郷土が生んだ偉人として、最近急速に評価が高まっている二宮金次郎。しかし私たち小田原市民は、意外に彼のことを知りません。
金次郎が生まれ育った時代のこと、生涯をかけて打ち込んだ仕事、小田原復興への取り組み…多数のエピソードには、これからの困難な時代に市民が力を合わせて生きるためのヒントが込められています。
ぜひこの機会に、金次郎の生き様を知っていただきたいと思います。

- 【内容】
- 講演
川久保武氏(郷土史家)
『金次郎が生まれた時代背景』(酒匂川の氾濫と酒匂堰の普請の歴史及び金次郎の教えを実践した大友亀太郎の足跡を辿る)
- 祖父江一郎氏(歴史作家)
『大久保忠真公と金次郎』(小田原の建て直し・幕府の建て直しを視野に、金次郎を見出した大久保公の志と、彼に見出されて各地で実績を積んだ金次郎の足跡を中心に)
- 草山昭氏(報徳二宮神社宮司)
『報徳の教えと小田原』(金次郎が行おうとした小田原藩の建て直しと、それに対する領民たちや藩の行動、報徳の教えのエッセンスと現代の示唆など)
- 加藤けんいち(司会)
- 【ご報告】
- 二宮金次郎の誕生日を翌週に控えた7月15日、「あしがら平野の先人たちに学ぼう~二宮金次郎の志をたずねる~」と題した講演会が、報徳博物館ホールにて行われました。3名の講師が違う視点から講演。
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まず、郷土史家の川久保武さんは、17世紀から18世紀にかけての足柄平野が度重なる酒匂川の氾濫や自然災害によって極めて厳しい状況に置かれていたこと、その状況を救うべく酒匂川の護岸強化をはじめ先人がたいへんな労苦を重ねたという時代背景が、綿密な資料を用いて語られました。
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続いて時代小説化の祖父江一郎さんは、そんな時代に生まれた二宮金次郎と、彼の能力や技量に惚れ込み、藩の建て直しだけでなく幕府の財政再建に重用しようとした、当時の小田原藩主であり幕府老中首座・大久保忠真公の「志」について力説。この話は、数年のうちに小説にされるとのこと、たいへん楽しみです。
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最後に、報徳二宮神社宮司の草山昭さんより、二宮金次郎の教え(報徳思想)のエッセンス、トヨタをはじめとする現代企業での応用、国会議員の中での研究グループの発足や、中国での報徳思想学会の本格化など、今の時代にこそ必要な実践智であることが語られました。
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この小田原には、困難を我慢強く乗り越えてきた先人の歴史が積み重なっていること、国レベルの改革さえ断行しようとした先人たちがいたことは、私たちをたいへん勇気付けてくれます。今後も学びを進め、小田原の現実に活かしたいものです。