- 対外発表
- 2015年
シンポジウム&上映会老いを受け入れるために~家族として、地域として~
日時:4月22日(土) 場所:小田原市民会館
- 【主旨】
- 4月から介護制度が改定され、介護は私たちの住む地域の課題となっています。身近な人の「老い」の現実を、私たちは家族として、地域として、どう受け止め、支え合っていけるでしょうか。
- 「おだわらを拓く力」では、このテーマを市民の一人ひとりが我がこととして考えていただく機会になればと、『折り梅』の上映会を企画しました。
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この映画は、認知症になった義母と、その面倒をみることになった嫁との関係の移り変わりを軸として、一度崩壊しかけながらも見事に絆を再生させる家族と、それを支える周囲の人々との係わりが描かれた実話です。そこには、「認知症」を解決するというよりも、「認知症」を受け入れていく行き方が示され、人を慈しむ気持ちと、人間の可能性を信じる眼差しを、観るものに与えてくれます。
子どもからお年寄りまで、全ての世代の方にぜひ見ていただきたい一作です。
- また、上映に先立ってのシンポジウムでは、地域でこの問題に携わっている方々をお招きし、具体的な課題を共有しました。
大見京子さんはお父様のお父様の介護に長年携わった経験から、理想的な介護を求める仲間たちとの出会いを通じて、ご自宅を改修し、2000年に宅老所をオープンされました。
元々そこに暮らしておられたので、地域の方から自然に受け入れられ、沢山の地域ボランティアの方々が運営に参加されています。
利用されるお年寄りの満足度が極めて高く、また働くスタッフもここに来て元気を頂いているとのこと。改修費、運営費とも公費ゼロ…。そんな施設を自分の地域にも作りたいと各地から見学者が絶えず、平塚や秋田、宮城にも同じような施設が生まれています。
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瀬戸美すゞさんは湯河原に開設されたデイサービス施設を運営。そしてこの春、千歳川に面した日当たりの良い場所にショートステイもできる2つ目の施設「千歳川」がオープンを迎えます。地域の建設会社を経営されるご主人が、福祉や介護の分野に積極的に関わり始めたことを契機に、瀬戸さんも地域でケアの担い手になろうと、湯河原の施設長を志願。ご夫婦で豊かな地域福祉の充実に向けた取り組みをされています。
「まだわからないことばかりなんですよ。」と謙遜される瀬戸さんですが、彼女の優しさと誠実さ、人を大切に想う心が、陽射しでいっぱいの施設に溢れています。

- 【内容】
- 第一部 シンポジウム『老いを受け止めるために ~家族として、地域として~』
- ゲスト: 大見京子氏(宅老所「ひなたぼっこ」代表) 瀬戸美すゞ氏(「シニア倶楽部湯河原」施設長)
司 会: 加藤けんいち
- 第二部 上映会 『折り梅』
- 製作・監 督: 松井久子 出演: 吉行和子
原田美枝子 トミーズ雅
- 【ご報告】
- 第一部のシンポジウムでは、湯河原でデイサービス施設を運営する瀬戸美すゞさん、平塚で宅老所を運営する大見京子さんがパネリスト参加。
- 20年近く前から父親の介護に携わり、手探りで身の丈の宅老所を立ち上げてきた大見さん。
「当時と比べれば、何倍もいい時代になった。大切なことは、そこに住む人たちが自分たちから進んでこういうものを作りたい!と思い、行動を始めること。ぜひ身近にできることから始めてみて」とのメッセージ。
- ご主人が福祉や介護分野の施設建設に関わっておられるご縁で、自らも介護の世界に入られた瀬戸さん。
「介護する側もされる側も、ストレスをためないことが大切。家の中に問題ため込むのでなく、ぜひ地域の様々なことに目を向け、外に出て欲しい。行政も民間も、様々なメニューを用意している」とのエールを頂きました。
- 第二部で上映された「折り梅」にはたくさんの共感の声が挙がりました。
ご覧になった松田町のNPO「在宅福祉しあわせサービスあしがら」さんが、早速、6月10日に松田町での上映会を企画されるなどの波及効果もありました。